白地青海波網桜花模様肩衣
しろじせいがいはあみおうかもようかたぎぬ
概要
白地に片身替りのように斜めに青海波模様と網模様を配し、桜花を染め表した肩衣である。
青海波模様は、半円形を三重に重ねて波のように連続させた模様で、舞楽の 〈青海波〉では、この青海波模様の下襲に、千鳥模様の袍を付けることで有名である。
一方、網模様は、この肩衣では上部が波打ち、吊るされたようにデザインされており、漁網が干される様子を表す。舞楽の〈青海波〉が海の波と千鳥の対比であったように、海の波と干網の対比となっている。
網に桜花を配す例は、この肩衣一点ではなく、刀装具や漆工品などにもいくつか見られる。漁村に咲く桜というだけでなく、能〈桜川〉でシテが桜の花弁を掬う網も背景にあるのかもしれない。胸と背に薺紋が据えられている。