紺地鶴模様肩衣
こんじつるもようかたぎぬ
概要
紺麻地に、舞い降りる鶴を大胆に染め表した狂言肩衣である。前面の鶴が小さく要所に配置されているのに対し、背面は大きくゆったりと配置される。太い筒描による糊防染によって紺地に白く鶴を染め抜き、二種類の配色によって表される。納戸色の鶴は輪郭を白く残して染めている。薄茶色の鶴は、表から顔料で手彩色によって線描きしている。
この鶴模様はいわゆる光琳模様である。尾形光琳(1658~1716)の名からつけられた模様名で、本阿弥光悦・俵屋宗達を祖とし、光琳が大成した独特の画風に倣った模様表現で、光琳没後に流行した。単に光琳風に描かれているだけでなく、表現も陰陽二種類が見られ、まさに光琳模様の好例である。胸と背に薺紋が据えられている。