大海のほうか
おうみのほうか
概要
八月十四、十五の両日、愛知県新城市大海【おおみ】の泉昌寺境内で行なわれる。大きな団扇を背に負い、締太鼓を胸につけた三人の踊手を中心とし、これに露払い、笛、鉦、ササラの囃子が行列を組んで泉昌寺に繰り込み、その境内で勇壮に踊る。
念仏踊の系統の民俗芸能であるので、念仏に合わせて踊るが、かつて室町中期頃からあらわれた放下僧【ほうかそう】が伝え広めた語り物調の放下歌によっても太鼓踊が演じられる。放下とは、禅においてものごとを放擲して無我の境地に入ることを「放下す」といったところから出た言葉で、ものを放り投げることに転用され、曲芸の一種である品玉や輪鼓【りゅうご】のような曲取りをして歩いた下級の僧を放下僧、大道の曲芸師を放下師と呼び、ついにはこの種の芸能者の芸を放下というようになった。この芸能者の伝えた歌が放下歌であり、それがこの地のほうかに伝承されて残ってきているのである。そういった意味から、この民俗芸能は芸能史的に価値が高い。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)