東海道五拾三次之内 54 大津《走井茶店》
とうかいどうごじゅうさんつぎのうち 54 おおつ はしりいちゃみせ
概要
大津宿から離れ京へ向かう山間に走井の里があった。走井とは溢れ湧き出る清水との意味があり、良質な水の水量豊かな所である。広重はここでも『東海道名所図会』の挿図を参考にして描いている。この図に描かれた茶店の軒端には清水が湧き出る走井が描かれているが、この水を使って作られた走井餅は旅人の土産物として人気があった。街道には米俵や薪を積んだ牛車が三台並んで行く。画中遠景にシルエットで見える山が逢坂山。逢坂山は絶えず湧き水で道がぬかるみ、牛車での運搬は大変に苦労したという。この逢坂山は後刷りで一旦消失し、再び復活したようだ。この版は初刷りのイメージを残す貴重なもの。
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