東海道五拾三次之内 52 石部《目川ノ里》
とうかいどうごじゅうさんつぎのうち 52 いしべ めかわのさと
概要
宿場と宿場の間の休憩エリアを立場(たてば)と呼び、名物が食べられる店などがあった。目川の立場に関しては、『東海道名所図会』(1797年刊)にこの図とそっくりの挿図があり、広重がそのまま模写したといっても過言ではない。画中の店の暖簾には「いせや」の文字が見える。『東海道名所図会』には、目川で菜飯と田楽豆腐が名物であった伊勢屋が紹介されており、広重はそれをそのまま描写している。画面右手に流れる川が目川である。遠景に見えるシルエットの山々は『東海道名所図会』にも描かれておらず、美しい山々の描写によって、この図が単なる模写にとどまらず、広重の風景画として完成度を高めているといえよう。
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