宜野座の八月あしび
ぎのざのはちがつあしび
概要
沖縄県国頭郡宜野座村字宜野座では、隔年の旧暦八月十五日、収穫を感謝し、これからの豊穣をも願って、地区内の広場に組み立てたバンク(仮設舞台)を中心にさまざまな芸能を演じている。
宜野座村は、那覇市から東北約六〇キロメートルの沖縄本島の北部東海岸にあり、宜野座地区は、宜野座村のほぼ中央に位置している。
宜野座地区では、宜野座区二才団【にーせいだん】が中心となって八月あしびを行う。二才団は、区の青年会および成人会の会員のうち団員となることを希望する者によって組織される。二才団には組踊、舞踊、劇、棒の四つの部があり、団員はそのいずれかに所属して芸能の演じ手となる。
旧暦七月二十日はニセーダンジュリー(二才団揃い)である。これは二才団の最初の集まりで、このとき、正式に八月あしびの実施が決定され、同時に団長、副団長、会計、四部門の部長が決められる。旧暦七月二十五日に全演目の配役が決定し、この日から稽古が始まる。配役は二才団の役員会で決められ、一人一種目を原則とする。旧暦八月六日はモージクミ(毛仕込み)といい、普段着のままで一通り演じ、さらに、旧暦八月十一日は、化粧をし、衣裳を着け、道具類も揃えるなどすべて本番どおりに演じるシクミ(仕込み)となる。旧暦八月十五日がいよいよ本番であり、この日をソーニチ(正日)という。
ソーニチには、午後二時ころから地区内の拝所で祈願があり、このとき、かぎやで風節の演奏、若衆踊の扇舞、組棒が奉納される。その後、棒の演じ手たちが勢揃いし、バンクのある平松毛【ひらまつもー】と呼ばれる広場までのミチジュネー(練り)の隊列が組まれる。旗頭を先頭に、獅子、扇舞の舞い手、ドラや太鼓、法螺貝なども加わり棒の演じ手が後に従う。平松毛までの順路は定められており、途中三か所でスーマチ(スー巻き)という棒の演技が行われる。平松毛に着くと、バンク前の庭で組棒やスーマチが披露され、その後はバンクに移り、夜中までさまざまな芸能が演じられる。
バンクでの芸能は、最初に舞い方と獅子で場を清め、弥勒の踊りでユガフ(世果報)を招き、その後、組踊や舞踊が次々と演じられ、最後に再び獅子舞となる。宜野座では獅子を踊り神として崇めており、遊びの場に迎え、また送るのである。組踊は「伏山敵討」「忠臣身替」の二演目が伝承されている。舞踊には「四季口説」「上り口説」「下り口説」「高平万才」「蝶千鳥」「松竹梅」等の伝承演目があり、これらを中心に番組が作られる。また、宜野座では、かつて沖縄で行われていた祝福芸の様子を伝える京太郎が伝承されている。劇は自由に演目が決められる。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)