絵唐津芦文壺
えがらつあしもんつぼ
概要
絵唐津芦文壺
えがらつあしもんつぼ
東京都
江戸/1601-1700
唐津焼の算盤玉形をなす壺である。素地は砂粒混じりの鉄分を多く含む黄灰色陶胎で、轆轤成形した胴は強く張り出して算盤玉形を呈し頸に向かって緩やかにすぼまり、口縁を低く鋭く「く」の字形に屈曲させ端反りとする。胴下半は丸みをもってすぼまり、篦削り調整を施す。底には高台を削り出す。
胴の一方には芦と草花の文様を、他方には唐草の文様を、それぞれ鉄絵で描き、内外面全体に土灰の混じった長石釉を掛ける。胴裾から底は露胎とし、長石釉は淡黄白色に発色する。口縁部には鉄斑文を描く。
高14.2 口径15.1 胴径20.5 高台径9.0(㎝)
1口
公益財団法人日本民藝館 東京都目黒区駒場4-3-33
重文指定年月日:20030529
国宝指定年月日:
登録年月日:
公益財団法人日本民藝館
国宝・重要文化財(美術品)
唐津は、現在の佐賀県西部から長崎県一帯にかけて展開した窯業地で、桃山時代から江戸時代前期に東日本の美濃窯とともに茶器を焼造した西日本第一の生産地である。
本作品は、奥高麗【おくごうらい】、斑【まだら】唐津、朝鮮唐津などとともに唐津焼を代表する、鉄絵で文様を描く絵唐津の製品である。胴に描かれた芦や草花、唐草の文様は手慣れた筆致でのびのびと力強く描かれる。なお、類似の文様を有する陶片が佐賀県伊万里市・市ノ瀬高麗神窯跡(一六世紀末~一一世紀初めに操業)から出土しており、同窯の製品とも推測される。
唐津焼独特の器形をなす壺に文様が見事に調和した、江戸時代初期(一七世紀初め)の作になる絵唐津の優品であり、絵唐津壺を代表する作品の一つである。