珠洲草樹文壺
すずそうじゅもんつぼ
概要
珠洲草樹文壺
すずそうじゅもんつぼ
京都府
鎌倉
素地は砂を含んだ灰青色炻器質胎で、所々に砂礫を含む長胴形の壺である。胴裾はろくろ成形するが、胴部全体は粘土紐造り成形とする。紐造りする胴部の外面全体を縦方向に篦削り調整をし、内面は篦撫調整して仕上げる。底はやや小さな平底とし、静止糸切りの痕跡をそのまま残す。胴下半はわずかにすぼまるが、裾部は鉢形に大きくすぼまる。片は緩やかな丸みを持つ撫で肩をなし、頸部は短く僅かに外に開いて立ち上がり、口縁端部を肥厚させ外端を突出して仕上げる。胴部には草樹などの文様を篦を用いた先刻で描く。一面には胴部全体に斜格子文を大きく櫛描きで表し、他の面には四本の草樹文を描く。中央の草樹は大きく描き、地面から立ち上がる樹幹に大きく伸びる枝を表し、その先端に三枚葉を繁らせ、さらに中央から伸びる茎と一つの先には開いた花弁を配する。左にはやや小さく、同じく地面から立ち上がる松の樹幹に上に伸びる枝を表し、その先には松葉を配し、下部には枝に懸かる藤を描く。右にはやや小さく同種の二本の草樹を並べて描く。
高39.3㎝ 口径19.1㎝ 胴径30.4㎝ 底径11.5㎝
1口
京都国立博物館 京都府京都市東山区茶屋町527
重文指定年月日:19810609
国宝指定年月日:
登録年月日:
国(文化庁)
国宝・重要文化財(美術品)
紐積重ねで成形した壺で、胴廻りの半面に四本の草樹文を、他面には斜め格子文を篦で線描してあらわしている。珠洲窯は石川県珠洲市にある中世古窯の一つで主に日常雑器が多くつくられている。この壺も素朴な作ではあるが文様もあらわされ、最も作行の優れた珠洲焼の代表作である。