仙台藩花山村寒湯番所跡
せんだいはんはなやまむらぬるゆばんしゅあと
概要
仙台藩の口留番所の一つである。地は一迫川の上流、藩領の西北部に位し、秋田藩領に出る口を扼する山峽の要衝であって、川の左岸山麓にある。寒湯の名は、附近の温泉に由来するが、明治以後温湯と改められた。
街道を遮って表門を構え、その正面に檢断所を置き、檢断所の向って右奥に役宅がある。街道はいま番所跡敷地の外を通っているが、もと表門より門に入り檢断所の前を過っていた。
規模には変遷があり、現在の建物は安政年間の建築といわれる。檢断所の建物は現存しないが、その基壇をとどめ、表門、役宅および蔵寺が現存する。役宅は桁行23.19メートル、梁行11.86メートル、向って右に土間、左に居間を配する一般民家の形式をとつているが、書院造の座敷を具えた堂々たる建物である。
口留番所は、藩において藩境警備、経済統制等のため設けた施設であって、藩の統治形態を理解する上に重要であるが、本番所はその遺構、環境と相まってよく旧態を偲ばしめるものがあり、この種遺構の乏しい現在貴重である。