倣曾我蕭白山水図屏風
概要
1997年の初め、京都の美術商で見い出された作品。向かって左隻の落款から、『平安人物誌』に名前が記される江戸時代後期の絵師世古升の作であることがわかる。
世古升については、『平安人物誌』の記述以外には、生没年を初めほとんど伝記を知ることができない。しかし、落款中に記される「蛇足十一世」の文字やこの山水図の画風から見て、「蛇足十世」を名乗った曾我蕭白と何らかの関係にあったことが推測される。
蕭白周辺の画家たちについては、近年の調査によって「曾我蕭月」「曾我白如」という、いわば蕭白派ともいえる複数の絵師の存在が知られるようになっている。世古升も、そうした蕭白の影響を受けた絵師の一人と考えられるが、「蛇足十一世」を標榜していることからすると、蕭白直系の継承者であった可能性も想定できる。本屏風は、蕭白画の後世への影響や広がりを検討する上で意味のある作品と考えられる。