エラニーの菜園
概要
農家の裏庭の野菜畑を丹念に描いた、印象派の画家ピサロの作品です。日差しは強く、草花は今を盛りと生い茂っていますが、空に浮かぶ雲はすでに秋の気配を感じさせます。印象派の絵は景色の色合いや陰影に敏感なので、時刻や季節を想像する楽しみがあります。ピサロは印象派の中でも年長で性格も温厚だったところから、画家仲間のまとめ役でした。農村風景を好んで描いた彼は、実生活でも都会の暮らしを好まず、パリから100キロほど離れた小村エラニーで後半生を過ごしました。晩年は眼病のため室内で半ば記憶をもとに描くことが多くなりましたが、その分若い頃の絵よりも入念に構成された力強さがあります。