ジヴェルニーの草原
概要
印象派を代表する画家モネは、セザンヌも感嘆したほどの自然に対する鋭敏な目と感受性で、光線の加減で変化する風景を正確に描こうとし続けました。後半生をパリから80キロ離れたジヴェルニーで暮らし、自宅の庭に睡蓮の咲く池と日本風の太鼓橋を造り、また数多くの浮世絵を収集しました。モネは同一の構図で多くの絵を描いています。積み藁、ポプラ並木、ルーアンの大聖堂などの連作は、気候や天候によって時々刻々変わる自然の表情をとらえようとしています。『ジヴェルニーの草原』は積み藁の連作より少し前に描かれました。夏の遅い午後、空が淡い紫色へと変わりゆくひとときの、あたたかく芳しい大気が感じられます。