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油彩画

マネ、エドゥワール  (1832-1883)

まね、えどぅわーる

フランス

1880年頃

油彩、カンヴァス

92.3×70.5cm

1

1880年に健康を崩したマネは療養のためパリ郊外のベルヴュに家を借りる。そうしたマネのもとに友人たちが見舞いに訪れる中、彼は油絵に取り組み、人物、風景、静物などを約30点ほど描いている。 本作はこうした夏のベルヴュ滞在のあいだに制作された作品のひとつ。この絵はマネ没後の翌年に行われた競売で、マネ作品の収集家であったオペラ座のバリトン歌手ジャン=バティスト・フォールが購入し、以後、欧米の著名な収集家の手を経て、現在東京富士美術館の所蔵となっている。 この作品のモデルは見舞客の一人、ガンビ夫人といわれている。アドルフ・タバランの『マネとその作品』によれば、ガンビ夫人は、マネ家と親しい付き合いのあったルバン夫人の友人であるらしい。またマネの義妹にあたる画家ベルト・モリゾの親戚筋の女性ともいわれる。紫色の花があしらわれた黒い帽子を被り、髪は前髪を垂らした流行のスタイル。背景の緑の庭は、印象派に近い筆触を生かした描き方であるが、モデルの女性の服は、他の印象派の画家の絵には見られない「黒」で大胆に描かれている。しかもすけて見えるような薄い着色で、筆跡を残しながら巧みに女性の体を描き出しているあたりは、マネの並はずれた造形センスとともに近代的で都会的な感性を感じさせる。 緑と黒の対比で構成された画中で、女性の顔の白と手袋の黄色が目に鮮やかに映る。そして女性の唇の赤と、絶妙のバランスで描きこまれた小さな赤い花の色がマネの天才的な色彩センスを存分に感じさせるスパイスとなっている。この作品でマネが描き留めたものは、もはや特定の女性の肖像というよりは、パリを象徴する「女性美」そのものといえるだろう。

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キーワード

印象派 / 描く / パリ / 女性

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