深江北町遺跡出土 木簡・墨書土器
ふかえきたまちいせきしゅつど もっかん・ぼくしょどき
概要
深江北町遺跡は東灘区東部の海岸部に位置し、東西方向の数本の浜堤(ひんてい)と堤間(ていかん)湿地(しっち)に立地していることが発掘調査によって明らかになっている。浜堤上では弥生時代後期の掘立柱建物、弥生時代末から古墳時代初めの円形周溝墓、古墳時代後期の竪穴建物、飛鳥~平安時代の掘立柱建物などが確認されている。
特筆すべき遺物として、「承和」年号が記された米の支給木簡や駅長宛ての命令伝達木簡、東大寺大仏造立に関わる可能性が高い智(ち)識(しき)銭(せん)の記述のある木簡や「大垣」「驛」などと記された墨書土器が多数出土している。これらの資料は深江北町遺跡が葦屋駅家(あしやのうまや)に関連することを表わすものとして極めて重要であると考えられることから、平成26年度に、木簡27点・墨書土器146点の合計173点が神戸市指定有形文化財に指定された。
指定された資料の大半は、平成23・24年度の阪神電車連続立体交差事業(下り線)に伴い出土したもので、有形文化財指定の契機となった。
その後、平成28年度に実施した阪神電車連続立体交差事業の上り線部分における発掘調査でも前回調査同様、湿地と浜堤が入り組んだ地形が見つかり、湿地内から木簡や墨書土器・祭祀関連遺物など古代の公的施設との関連が窺える資料が出土した。