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石曳蒔絵弁当箱

いしびきまきえべんとうばこ

概要

石曳蒔絵弁当箱

いしびきまきえべんとうばこ

漆工 / 江戸

江戸時代・17世紀

1合

 弁当箱として伝わった木製の箱です。
 模様は、表面に漆の樹液を塗り重ね、さらに漆を接着剤のように用いて金や銀の粉を蒔きつける「蒔絵(まきえ)」という方法であらわされています。この箱のように、模様の部分が盛り上がっているのは「高蒔絵」と呼ばれる技法です。同じ金を使った蒔絵でも、人びとの着物の部分と、車輪の部分とでは金粉の細かさがちがうのが分かります。背景は、木地に透明な漆を塗って仕上げ、木目を活かしています。
 大勢の人びとが建築のための巨大な石を人力で運ぶ「石曳(いしびき)」の様子があらわされています。人物はみな重心を低くし、足を曲げたポーズで、力を入れて重いものを運んでいることがよく伝わってきます。一人として同じポーズはしておらず、生き生きと躍動的に描写されています。人びとの着物は金、石などは銀であらわされる一方、からだは黒い漆の色のままで、顔の表情も見えません。もともと描かれていた目鼻立ちが、長年使われたことで消えてしまったのかもしれません。16世紀末から17世紀にかけて、各地で築城が盛んに行われ、その石垣をつくるための石曳の作業がモチーフになっています。石曳に限らず、田植えなど、労働の姿が工芸品のデザインに取り上げられた時代でもありました。
 これらの模様を目で追ってみましょう。一つひとつの面に模様が収まっておらず、箱の上面から側面、さらに隣の側面へと、すべての面で模様がつながっています。立体的に考えられたデザインです。

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キーワード

蒔絵 / / /

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