マチカネワニ化石
まちかねわにかせき
概要
マチカネワニ化石(Toyotamaphimeia machikanensis:古事記に出てくるワニの化身であるという豊玉(とよたま)姫(ひめ)にちなむ)は,昭和39年大阪府豊中市待兼山町にある大阪大学豊中キャンパスの理学部建築現場の大阪層群と呼ばれる地層の粘土層(約45万年前)から発掘された,日本で初めて発見されたワニ化石である。ワニ化石の中で最も完全な骨格化石の一つで,ワニ類の中でも大型(全長6.9m~7.7mと推定されている)で,頭骨の長さが1mを優に超えるという他のワニ類には見られない変わった特徴を示し,ワニ類の系統学的位置について世界的にも関心を集めている。さらに,産出層からの花粉化石などから,生息当時は温帯性気候であることが推定される。
マチカネワニ化石は,ワニ類の進化を解明する研究においても不可欠な標本として,世界的にも注目されている。マチカネワニ化石は,国立大学法人大阪大学の総合学術博物館での常設展示により学内外に対し公開が図られるとともに,地元豊中市のシンボリックな文化遺産として保護・継承活動が活発に行われている。