金銅六器
こんどうろっき
概要
小形で浅めの六器(ろっき)。側面の立ち上がりは緩く、口縁に僅かの反りを有する。高台は低い。本品の特徴は器を包むように外面に蓮華が彫刻されていることにある。蓮華は間弁付きの八葉蓮華で、輪郭は三重とされている。一番内側の輪郭は対葉花文(たいようかもん)(花弁内側に半裁された花葉文を表す文様)とし、その内側は地を一段低くして魚々子地(ななこじ)とし、中央に宝相華(ほうそうげ)を陽刻している。宝相華文は高台寄りの部分に半裁された菊花文を表している。口縁にはしべを刻んでいる。外面に蓮弁を表した六器は、平安時代後期から鎌倉時代に散見することができる。本品は宝相華文が簡略化されている点などから、この種の六器の中では遅い時期の作品に属すと思われ、製作年代は鎌倉時代後期と推定される。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, pp.60-61, no.39.