金銅宝珠杵
こんどうほうじゅしょ
概要
宝珠杵(ほうじゅしょ)は両端に火焔(かえん)宝珠を表した金剛杵(こんごうしょ)で、独鈷杵(とっこしょ)、三鈷杵(さんこしょ)、五鈷杵(ごこしょ)、塔杵(とうしょ)とともに五種杵(ごしゅしょ)を構成し、大壇では五種鈴(ごしゅれい)と一具で用いられることが多い。本品は火焔部まで一鋳(いっちゅう)とした宝珠杵。鬼目(きもく)は小さめで二重の輪郭を刻み、蓮弁帯は間弁付き八葉弁で二重の輪郭を有し、素文の二線で約している。宝珠は五宝珠に4枚の火焔を付けたもので、宝珠の上部は白色、胴部は朱、緑青、黒、茶などで色分けされている。なお、平安時代後期から鎌倉時代にかけての宝珠杵や宝珠鈴では火焔を別に作って装着する例が多いが、鎌倉時代後期から室町時代にかけては宝珠と一鋳とするものが比較的多いことから、本品の製作も鎌倉時代後期と推定される。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.39, no.21.