庄内の米作り用具
しょうないのこめづくりようぐ
概要
庄内地方は、早くから東北地方の米どころとして知られてきた。最上川・赤川を主流とする大小河川を通して豊かな灌漑用水に恵まれるなどの自然条件を基盤に、近世初頭以降、営々と積み重ねてきた灌漑溝の開鑿【かいさく】と稲の優良品種を生み出す努力をはじめ、明治20年代からはじまる湿田の乾田化、馬耕の導入を契機に取り入れた通し苗代の改善、籾種の塩水選、多肥栽培、正条植え、中耕除草など、各面における農業技術の改良が行われた。
この収集は、古くからの様式を継承する米作り用具に加え、こうした農業技術の改良の軌跡を裏付ける用具を農作業の順序に従って、体系的に整理したものである。苗代作り用具、本田作り用具、田植え用具、管理用具、収穫調整用具など、米作りの実際に使ってきた農具をはじめ、農作業に関係する一連の運搬用具、役牛馬用具、稲藁の利用に関わる藁仕事用具、仕事着、飲食用具、豊作を祈念する神体・護符類などを収集している。