ウサクマイ遺跡群
うさくまいいせきぐん
概要
千歳市の西方約5キロメートルの地点で千歳川と苗別川が合流するが、本遺跡群は、この両川に挾まれて東西に細長く延びるウサクマイ台地及びその裾部の川岸に集中して分布する。
昭和初年、故河野広道が初めてこの地における遺跡の存在を確認して以来、7次にわたり調査が実施され、当該域内に、繩文時代早期からアイヌ文化期に至る22か所の遺跡と多数の近世の炭窯が発見された。これらのうち、繩文時代早期に属する遺跡は2か所、前期2か所、中期4か所、後期2か所、晩期2か所、続繩文時代5か所、擦文時代11か所に及んでいる。
本遺跡群のうち、ウサクマイA遺跡では28の墓壙が発見され、蕨手刀・刀子・擦文土器・北大式土器、土師器などの副葬品が発見され、古代東北地方との文物交流を物語る具体的資料としてきわめて高く評価されている。
その他、ウサクマイC遺跡では、79の竪穴住居跡が地表に明瞭なくぼみを見せて密集し、大規模な集落跡として重要である。また、ウサクマイJ遺跡の一部には、落葉や落枝からなる泥炭層が形成されていて、動・植物遺体のほか繩文前期の土器が発見されており、さらに木器などの有機質の遺物の発見も期待されるなど、貴重な遺跡群である。