室内
しつない
概要
画面左下に年号・署名:2602.9 S.MigiSi
輝くような色使いの中に読書をする少女と室内の様々な物が描かれ、濃密な空間を作り出している。少女の姿はやわらかに描かれ、暖かな色彩に溶け込んでしまいそうである。晩年まで愛用していた八角形のテーブルの上には、カップや果物が点々と置かれ、濃い影を落としている。全体的に見ると絨毯や壁は鮮やかな朱色や褐色など濃い色彩で塗りこめられているのに対し、手前のテーブルや少女、背後の壺などはかすれるようなタッチで細部を省略して描き、画面全体のバランスを取っている。そして壁の水玉と丸い果物を呼応させ、背景と前景につながりを持たせている。戦時中の暗い世相とは対照的にあふれんばかりの豊かな色彩と温かな世界が広がる。
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一宮市三岸節子記念美術館