絹本著色白衣観音図
けんぽんちゃくしょくびゃくえかんのんず
概要
中国の水墨画系の白衣観音はその遺例も多いが、本図は観音の像容、図様の構成、賛の体裁あるいはその書風等からみて中国のこれとは異なり高麗の白衣観音と推察される。高麗時代におけるこの種水墨系道釈画の遺例は少なく、おそらく元時代のものを学んだと思われる。賛者の海燁については詳かではないが、「丁巳」の年記は高麗最末期の辛〓【しんご】三年(一三七七)に比定するのが無難かと思われる。いずれにしても本図は高麗時代におけるこの種道釈画の貴重な遺例といえる。