松山雲煙
概要
20 村上華岳 松山雲煙 1925年
山は仏像、牡丹、椿などと並んで華岳が最も好んだモチーフの一つである。この作品に描かれているのは武庫の山で、国画創作協会展への最後の出品作となった。山並みを遠景で捉えた縦50cm弱、横140cmのそれほど大きくはない画面は細かな線で埋め尽くされており、華岳の細部に対する並々ならぬ執着を感じとることができる。松の木々、雲、山々の稜線を表すそれら無数のうごめくような細かな線を辿っていく観者の視線は、いつしかそれら線の集積が、個々の細部を越え、そしてまた単なる写実を超えて、驚くべき強度を有した絵画としてのリアリティに達する様に出会うだろう。