世界遺産と無形文化遺産
紀伊山地の霊場と参詣道
きいさんちのれいじょうとさんけいみち
世界遺産登録年:2004年
構成する文化遺産
主情報
- 記載物件名
- 紀伊山地の霊場と参詣道
- 構成資産
- 吉野山、吉野水分神社、金峯神社、金峯山寺、吉水神社、大峰山寺、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、青岸渡寺、那智大滝、那智原始林、補陀洛山寺、丹生都比売神社、金剛峯寺、慈尊院、丹生官省符神社、大峯奥駈道、熊野参詣道中辺路、熊野参詣道小辺路、熊野参詣道大辺路、熊野参詣道伊勢路、高野参詣道
- 所在地(市町村)
- 三重県尾鷲市、熊野市、度会郡大紀町、北牟婁郡紀北町、
南牟婁郡 御浜町、紀宝町、奈良県五條市、吉野郡吉野町、
黒滝村、天川村、野迫川村、十津川村、下北山村、上北山村、
川上村、和歌山県新宮市、田辺市、橋本市、伊都郡かつらぎ町、
九度山町、高野町、西牟婁郡白浜町、すさみ町、上富田町、
東牟婁郡那智勝浦町、串本町 - 暫定記載年
- 平成13年(2001年)
- 推薦年月
- 平成15年(2003年)1月
- 記載年月
- 平成16年(2004年)7月
- 資産範囲の軽微な変更承認年月
- 平成28年(2016年)10月
- 評価基準
- (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
- 都道府県所管課
- 三重県教育委員会社会教育・文化財保護課、和歌山県教育庁文化遺産課、奈良県文化・教育・くらし創造部文化資源活用課
- 自治体等HP
- http://www.sekaiisan-wakayama.jp/?(和歌山世界遺産センター)
http://www.pref.nara.jp/miryoku/ikasu-nara/sekai/?(奈良県HP)
http://www.pref.mie.lg.jp/common/04/ci600003058.htm
(三重県HP) - ユネスコ資産ページ
- https://whc.unesco.org/en/list/1142
関連資料
解説
詳細解説
紀伊山地は本州最南端、太平洋に張り出す紀伊半島に位置し、標高1,000m~2,000m級の山脈が縦横に走り、年間3,000mmを超える豊かな降水量が深い森林をはぐくむ山岳地帯です。
紀伊山地は太古の昔から自然信仰の精神を育んだ地で、6世紀に仏教が伝来した以降、紀伊山地は真言密教をはじめとする山岳修行の場となりました。中でも、山岳修行により超自然的能力を獲得することを目的として10世紀中ごろから11世紀代に成立した修験道は、特に大峰山系の山岳地帯を中心的な修行の場としていました。また、9~10世紀に広く流布した「神仏習合」思想(日本古来の神々は仏教の諸尊が姿を変えて現れたものとする日本固有の思想)の聖地としても信仰を集めていました。
さらに、10~11世紀頃の日本では「末法思想」(仏法が衰え世も末になるという思想)が流行し、死後に阿弥陀仏の居所である極楽浄土に往生することを願う「浄土宗」という仏教の教えが貴族や庶民の間に広まりました。これに伴って、都の南方に広がる紀伊山地には仏教諸尊の浄土があると信じられるようになり、この地の霊場としての性質がいっそう強まりました。この地方の神聖性がことさら重要視されるようになった背景には、深い山々が南の海に迫るという独特の地形や、両者が織り成す対照的な景観構成などが大きく影響していたものと考えられています。
このような特有の地形及び気候、植生などの自然環境に根ざして育まれた多様な信仰の形態を背景として、「吉野・大峯」、「熊野三山」、「高野山」と呼ばれる顕著な三つの霊場とそれらを結ぶ「参詣道」が形成されました。