草上の小憩
概要
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草上の小憩
Rest on the Grass
1904年
油彩その他・麻布 92.0×137.5cm
第3回太平洋画会展出品作品。1904年2月に杉の木が立ち並ぶ丘を背景にして、最初の水彩スケッチを行った。明るい色彩と素描的な筆致を効果的に用いて、午後の暖かい日差しを浴びながら、枯草の上でくつろぐ少年少女の姿を生き生きと、さわやかに描出している。モデルは、柏亭の弟妹たちで、手前から幸、みつ、四郎、鶴三の4人である。英国ニュートン社製の固形油絵の具を併用した柏亭の最も大きい作品で、パステル画に似て、軽快で生気ある筆触がそのまま画面に息づいている。題名は、マネの《草上の昼食》から想を得てつけられたのであろう。「画のための画」の信徒であった当時の柏亭の意欲的作品で、画家自身、「私はそのころ印象主義の描法、光線大気の描写などに相当興味を寄せていたので、この画には人物の描写が殆と済んでいる上に、なお光線を強めるつもりで黄色の線を軽くかけるなどの蛇足も加えられている」と回想してその時の意気込みを伝えている。