文化遺産オンライン

ストッキングをつけて横たわる女

概要

ストッキングをつけて横たわる女

絵画 / 素描 / 昭和以降 / 日本

国吉康雄  (1889-1953)

くによしやすお

1930(昭和5)年

鉛筆・紙

26.6×34.2

額装

 ここに描かれた女は、画家がアトリエに呼んだモデルの女性であるかどうか、詳しくは分からない。けれども、国吉がモチーフとして脳裏に思い浮かべていたのは、踊り子などの夜の仕事に従事する女性像であったはずである。
 一九三〇年ごろの混乱したアメリカ社会を正視した国吉は、さまざまな矛盾を露呈する時代の風俗、とりわけ、虐げられた下層階級の人々を、洗練された筆さばきでリアルに絵画化した。
 その哀愁あふれる多くの画家は、アメリカに渡った日本人画家たちの作品中にあって、他の追随を許さない宝石のような輝きを放っている。
 ストッキングをはいたままベッドに横たわる女は、今しがた過酷な職場から解放されたばかりであろうか。ここでは、いわゆる絵画のモチーフとしての「ヌード」ではなく、一日の疲れをいやす女性の生活の一局面が繊細この上ない軟らかな線描によって、確実にトリミングされているというべきであろう。 (中谷伸生)

ストッキングをつけて横たわる女をもっと見る

国吉康雄をもっと見る

三重県立美術館をもっと見る

キーワード

画家 / アメリカ / 女性 / 社会

関連作品

チェックした関連作品の検索