萩雁蒔絵黒鼈甲簪
はぎにかりまきえくろべっこうかんざし
概要
二本足、黒鼈甲製の松葉流簪である。耳掻き付近を金粉溜地とし、高蒔絵で萩に雁を表している。簪は笄から分化して発生し、二本足の簪は享保以降に出現した。『玳瑁亀圖説』によると、「松葉流シ」は、松葉形で突起のない形状を意味し、鼈甲製の二本足、松葉簪・松葉流簪は江戸で明和・安永の頃に流行したとされる。また「松葉流耳掻中差」として、天保年間にも流行したとされる。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。