仏頭
ぶっとう
概要
乾漆造の如来像頭部。塑土で原型を造り、木屎漆で目鼻口や耳、頭部を成形し、表面を黒漆で整えたのち、朱漆を塗り、金彩を施す。原型の塑土は掻き出し、漆の層が頭部内側の表面に確認できる。頭頂部にはラッサミーを挿し込むための小孔がある。先が尖った螺髪を漆の練物で造り、地髪部および肉髻の表面に貼り付ける。白毫、三道はあらわさない。伏し目で口角を上げて微笑をたたえる温和な表情はパガン朝後期・12~13世紀の作例に通じるが、同時代の乾漆像の類例に関する情報が乏しく断定は難しい。18~20世紀におけるパガン仏の模古作の可能性も考えられ、制作年代についてはなお検討を要する。しかしながら、古式を示すミャンマーの仏像としての価値は認められる。