広島県安芸国分寺跡土坑出土品
ひろしまけんあきこくぶんじあとどこうしゅつどひん
概要
安芸国分寺は、天平13年(741年)の詔勅を契機に建立された国分僧寺の一つである。本一括は、国分寺跡内土坑より発見された奈良時代の出土品、全252点から成る。
その内容は、「天平勝寶二年」(750年)の紀年が記された、安芸国司の四等官(目【さかん】)からの資材の送付を示す長大な木簡をはじめ、安芸国内の郡名が記された木簡、「安居」「齋会」などの仏教行事が記された墨書土器、塩を再加熱・固化して、斎会などで用いる調味料や仏法僧への供養品となる「焼塩」をつくるための焼塩土器、経紙などに罫線を引くためと思われる物指や、経典類に送り仮名や句読点などの符号を書き込んだ可能性がある角筆などの木製品が注目される。
本件は、国分寺建立の詔から9年目の紀年木簡を含む、時期が極めて限定された出土品の一括であり、創建後間もない国分寺で勤修されていた安居・斎会等の仏教行事の一端を示す資料として評価され、その学術的価値は高い。