延暦寺文殊楼
えんりゃくじもんじゅろう
概要
文殊楼は、最澄が比叡山における修行として定めた四種三昧(四つの修行の総称)のうちの、定坐三昧を実践する道場とされ、上層に文殊菩薩像を本尊として祀る。建築の形式は二重門で、坂本から延暦寺への表参道である東坂を登った東塔の入り口に建ち、道場であるとともに延暦寺の総門としての性格を持つ。
創建は貞観8年(866)で、創建以降に7度、火災で焼失したとされるが、その都度再建されており、延暦寺における文殊楼の重要性が伺われる。現在の建物は、寛文8年(1668)2月の火災後に再建されたものである。
文殊楼は、延暦寺における重要な修行を行う仏堂としての要素に、延暦寺の総門としての要素を兼ね備えた建造物であり、また意匠的にも構造的にも特徴があり貴重である。