寒山拾得図
かんざんじっとくず
概要
孫克弘(1533—1611)は字を允執、号を雪居といい、松江(上海市)の人。父の蔭位(おんい)を受けて漢陽知府に至り、画に天賦の才があったという。この画を見る鑑賞者は、画中で正面をむく寒山拾得から逆に笑われている。寒山拾得は、こちら側に広がる俗塵に満ちた小さな世界で悩む存在を、悟りの世界から、笑いとばしているのである。画家の自由放逸な精神をあらわすかのようで、なんとも痛快な画である。
賛は同じく松江(上海市)の文人であった陳継儒のもの。いわく「(釈迦の眷属である)文殊、普賢は寒山拾得となってあらわれた。その一、二の詩句は(釈迦一生に説いた経典といわれる)五千四十八巻の経典とも等しい。」寒山拾得の大笑には、中国仏教の深い意味が込められている。