維摩居士像
ユイマコジゾウ
概要
維摩詰(ゆいまきつ)はインド毘耶離城に住む長者で、弁才無礙をもって聞え、在俗の身ながら、仏の教えを深く理解していた。ある日、衆生の病をもって病む彼を見舞う文殊との間に、大乗の妙理を示す問答を展開する。 本図は、『維摩経』に説くこの劇的な場面を描いたもので、初老の居士形にあらわされた維摩は、床上、脇息によりかかり、かすかに口を開いている。床側には、経の「観衆生品」に見える天女が散華の姿勢を取って立つ。 維摩の穏やかな表情や、床座に見る細緻で洗練された文様は宋画の特質を残しており、北宋末の画家で維摩像をも好んで描いた李公麟の白描画の伝統を示している。