刀 銘 備前国住長船清光作/天文十九年八月
かたな めい びぜんのくにじゅうおさふねきよみつさく/てんぶんじゅうきゅうねんはちがつ
概要
室町時代後期、日本有数の刀剣産地であった備前国では、中心流派であった長船派が更に勢力を拡大して量産体制に入り、鍛冶屋千軒と称されるほどの活況を呈した。この時期の備前刀および刀工を、末備前と称する。代表的な刀工としては、本品に名が見られる清光のほか勝光や宗光、祐定などがおり、それぞれ同名工が数代続いた。当該期は実用本位で数打物と呼ばれた刀の量産化が進む一方、著名工による注文打ちが行われた。本品については職名に由来する俗名を伴わず、表裏で銘ぶりがやや異なるため注文打ちとは思われないが、天文年間の紀年銘が入ることから当該期の末備前の作風を知るための典型作と言える。
<望月規史執筆, 2024>