千鳥蒔絵手箱
チドリマキエテバコ
概要
無数の千鳥を金の研出蒔絵(とぎだしまきえ)で散らし描いた手箱。千鳥は千代千代(ちよちよ)と鳴くということで、吉祥文とされた。蓋裏には浜松の景色に千鳥を描いており古風である。手箱はもと身の回りの品を何でもしまう箱だったが、現代に伝わる中世以前の手箱の多くは、化粧道具を納めて神前に奉納されたもの。本品は中身を失っている。千鳥蒔絵の中世の手箱としてはほかに、野村美術館が所蔵する足利義政ゆかりの面箱に改造された例(重要文化財)や、千鳥の列がより整理された東京国立博物館の所蔵品が知られている。