秋萩帖
あきはぎじょう
概要
第1紙に「安幾破起乃(あきはぎの)」と始まる和歌が書かれていることから「秋萩帖」の名があります。草仮名で書かれた遺品として、また筆跡と色紙の美しさから、日本の書の歴史において特に有名な作品です。
全部で20紙あり、白紙のほか藍、茶、黄、緑の濃淡のある染紙を継いだ彩りの豊かな色紙を用いています。第1紙から第15紙には和歌48首が書写され、第16紙から第20紙には、中国・東晋時代の王羲之の書状11通を写しています。第1紙は小野道風筆、第2紙以下は和様の書を完成した藤原行成筆と伝えられますが確証はありません。
第2紙以下の紙背には、中国・前漢時代の思想書『淮南子』の本文とその注釈を端正な楷書体で書写した『淮南鴻烈兵略間詁』があり、秋萩帖は本来この唐時代に記されたとみられる書の裏面を利用したものであることがわかります。