花唐草蒔絵交椅
ハナカラクサマキエコウイ
概要
背もたれに轆轤(ろくろ)で挽いた壺形の列柱と連続アーチを組み合わせ、上端左右に楯をもつ獅子の彫刻をつける椅子。十七世紀のオランダの様式だ。小型の折りたたみ式は、教会などに出かけるときに持参したもので、普段は壁にかけて収納したらしい。オランダに黒檀や模造黒檀でつくった類品が伝わるが、本品のように蒔絵と螺鈿で最高級に仕立てた例はほかにない。オランダ東インド会社の商館長や館員は、豪華な蒔絵を特注し、会社と個人の利権のために各地の要人に贈っていたことが知られる。本品もおそらくそのような特注品だろう。