花鳥蒔絵螺鈿櫃
かちょうまきえらでんひつ
概要
花鳥蒔絵螺鈿櫃
かちょうまきえらでんひつ
大阪府
桃山
蒲鉾形、印籠合口造、長方形の櫃で、総体黒漆塗とし、各面毎に波状唐草の縁模様を施し、蓋には前面に菊。背面に昼顔、前側に桔梗に小禽、後ろ側に葛、右側に萩桔梗、左側に菊を、金と銀の平蒔に鮑貝の螺鈿をまじえて描く。身には浅い懸子を入れ、蓋裏に茅に昼顔を平蒔で表す。蓋は蝶番付で、身の左右側面に銅花座付提鐶をつけ、花文線彫金銅の隅金物及び洋風錠前金具を打つ。
附の籐編外櫃は、籐の籠目編地に縦横の区割と紋章。S字形文、洋文字を黒漆を施したもので編み起こし、内面は籐網代編を貼る。
縦29.0 横51.0 高33.5 (㎝)
籐編外櫃 縦32.5 横59.5 高37.5 (㎝)
1合
大阪府池田市栄本町12-27
重文指定年月日:19630214
国宝指定年月日:
登録年月日:
公益財団法人阪急文化財団
国宝・重要文化財(美術品)
本櫃と同手法による蒔絵品として、ロンドンのV&A博物館所蔵の花弁蒔絵小箪笥、花鳥蒔絵飾盆や大英博物館蔵の花卉蒔絵小櫃、個人所蔵の住吉清水蒔絵西洋双六盤などがあり、本品は金製初期に来朝した西欧人の注文により外櫃と共に輸出向に製作されたと考えられる。この手のものとしては大作であり、外櫃が共に伝わることも珍しく、近世初期における西欧との交渉を物語る資料としても貴重である。