歌舞伎図屏風(右隻)
かぶきずびょうぶ
概要
6枚のパネルがつながった屏風が、2つでセットになった6曲1双の作品です。江戸時代前期の浮世絵師、菱川師宣が歌舞伎の劇場を描いたもので、今回は、1双のうち右の屏風のみを展示しています。
屏風の右側に、中村座という芝居小屋の入り口が描かれています。入り口の両脇には演目の書かれた看板がかけられ、男性たちが観客を呼び込んでいます。中へと進んで行くと、そこは舞台です。役者たちが総出演の、華やかな踊りの場面です。地面に座り、舞台を見上げる観客たちは、おしゃべりをしたり笑ったり、それぞれに楽しんでいる様子です。お母さんの膝の上で見る子どもや、赤ちゃんにおっぱいをやるお母さんもいます。舞台の左右では、御簾(みす)越しに芝居を観ている、身分の高そうな女性や、屏風で仕切られた席で楽しんでいる男性たちもいます。こちらは特別席でしょうか。一人ひとりの顔の表情、しぐさ、ファッションにいたるまで、お芝居をする側も、観る側も、こまやかに、生き生きと描かれています。芝居小屋の活気が伝わってくるようです。
ふつうの屏風よりも20センチほど大きい、高さ170センチの屏風です。サイズから言っても、特別注文で作られた品でしょうか。