金彩染付日本図角形皿
きんさいそめつけにほんずかくがたさら
概要
向かい合って両翼を広げる鳥(コウモリヵ)が、日本図を覆うように配された日本図皿。変形型の器に描かれているためか、四国や九州地方は窮屈に、丸みを帯びています。とりわけ、円形の日本図皿に比べて、「ヒセン」の長崎半島、及び彼杵(そのぎ)半島、「サツマ」の薩摩半島、「ヲヽスミ」の大隅半島の簡略化が顕著です。
金彩の渦巻文が配される下地部分(波頭文ヵ)の染付には、墨弾きによって白く抜かれた波文などの手の込んだ装飾を確認できます。裏面高台内には染付銘「日本文政年製」とあり、年記のある作例の中では最も古い作例の一つとされます。伊万里焼地図皿の多くは、高台内に「天保年製」「本朝天保年製」などの銘が記されている作例が多く、19世紀以降に製作されたものとされます。同形ながら、金彩が施されていない作例も確認されています。
【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】【古地図】