染付方形世界図皿
いまりやきほうけいせかいずさら
概要
「大日本」を中心に、東には南アメリカ、北アメリカ大陸、北には朝鮮、大清といった東アジアの国々や地名のほか、欧羅巴では「ナンハン(南蛮)」「イキリス」「本オランタ」などの国名を記した世界図の角皿。縦・横の寸法がそれぞれ30㎝を超えており、角皿としては大きな作例。
「大日本」には、江戸・京・大坂・長サキといた地名が施されていますが、「イキ(壱岐)」と「ツシマ(対馬)」の位置関係は誤っています。北方に「女人国」「小人国」「一目国」、南アメリカには「長人国」といった空想の国が確認できることも大きな特徴。海上にあしらわれた青海波、高台部分に「天保年製」との記載を施すのも、伊万里焼の地図皿には一般的な作例といえます。
アジアに東西に大きく拡がる山脈のほか、随所にみられる山並み、さらには地名の位置や並びなどを考慮すると、地図皿に描かれた意匠のもととなったのは、幕末に流布をみた一枚刷の世界図「世界万国日本ヨリ海上里数王城人物図」(附図)とその類品が考えられます。となると、必然的にこれらの世界図皿の製作年は下るでしょう。
【古地図】【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】