福枝製竹管筆 銘 頼先生山陽用筆
ふくしせいちくかんひつめいらいせんせいさんようようひつ
概要
明治維新を成し遂げた原動力の一つが広島ゆかりの文人、頼山陽(一七八〇~一八三二)の思想であったことから、昭和初期まで人々の山陽への敬慕の念はとりわけ深いものであった。これにあやかって作られていたのが本筆である。美術史家、脇本十九郎と江戸の筆匠、秋葉和助の対談「明治以降の筆を語る」(『画説』四〇号)には、明治時代中期頃には有馬から「山陽外史」という筆が販売されていたことが記されている。本筆はこれに類すると考えられるもので、往年の有馬筆、そして熊野筆を考える上で重要である。