小熊山古墳・御塔山古墳
こぐまやまこふん・おとうやまこふん
概要
別府湾(べっぷわん)の北岸,国東半島(くにさきはんとう)の南端部に位置し,海を見下ろす丘陵上に立地する。小熊山古墳は,九州では最古級の円筒埴輪が出土し,畿内地域で出現した埴輪祭祀の展開状況を知ることができる。墳長116.5mの大型前方後円墳であり,古墳時代前期前半(3世紀後半から4世紀初頭)に属する。御塔山古墳は,小熊山古墳の南南西500mに位置し,九州では稀な家形(いえがた)・囲形(かこいがた)・木樋形(もくひがた)・船形(ふながた)・短甲形(たんこうがた)など多様な形象埴輪が出土する。長方形の造出(つくりだし)を有する直径75.5mの大型円墳であり,古墳時代中期前半(5世紀前半)に属する。
これらの古墳からは,瀬戸内海を望む九州東北部沿岸における古墳出現後の展開状況,さらには,畿内地域で成立した最新様式の埴輪群の波及から,大和政権との密接な関係性を有することが明らかになった。このことにより,九州における古墳時代開始期から中期にかけての展開状況を知る上でも重要である。