与論島の芭蕉布製造技術
よろんじまのばしょうふせいぞうぎじゅつ
概要
与論島の芭蕉布製造技術は、鹿児島県大島郡与論町に伝承されている、イトバショウの繊維を原材料として「芭蕉布」と呼ばれる伝統的な布を製造する技術である。与論島では、芭蕉布はバシャヌヌと呼ばれ、普段着や仕事着、帯などに主に用いられてきた。芭蕉布の製造は、イトバショウの栽培からはじまり、伐採と皮剥ぎ、皮の選り分け、灰汁による皮の煮炊き、繊維の採取、糸づくり、米糠によるアク抜き、整経、織りの工程からなる。イトバショウの繊維は、芯に近いほど上質となるため、ウヮーゴ(外)、ナーゴ(中)、ナーグ(内)の3種類に丁寧に選り分けて糸にする。糸づくりは、フーウミと呼ばれ、灰汁で煮て不純物を取り除いた繊維を陰干しした後、細かく裂いて、1本ずつ指先で繋ぎ、時間をかけて長い1本の糸にする。その後、糸車で撚りを掛け、精練、整経の工程を経て、高機で織る。織りは、平織であるが、芭蕉の糸は切れやすいため、適度な力加減と糸の操作が必要であり、熟練を要する。
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国指定文化財等データベース(文化庁)