小野蘭山関係資料
おのらんざんかんけいしりょう
概要
小野蘭山(享保14年<1729>~文化7年<1810>)は江戸時代の本草学者で、薬用など実学的な関心のみにとらわれず、日本産の動植物、鉱物を広く観察して名称(和漢・方言)、性質などを考究し、近代の博物学・植物学に通じる独自の本草学を大成した。
本資料群は、著述稿本類、文書・記録類、書跡類、典籍類の計24点からなる。
著述稿本類では、『本草綱目』に関する自筆の講義稿「本草綱目草稿」4冊が特筆される。蘭山は本資料を書き上げた後、最晩年まで加筆・修正を続けた。本資料に本来貼付あるいは挟み込まれていた、さく葉標本、書状下書、付箋352点が剥離のため別置保管される。本資料は、蘭山の本草学とその形成過程を知る上で欠くことのできない資料である。
文書・記録類では、晩年にあたる幕府医学館勤務時代の公務のありようや各地での採薬の実態を明らかにする、自筆日記「小野蘭山公勤日記」3冊がある。また蘭山の孫職孝の手による、同時期の蘭山の公務の記録を含む「御用留」2冊がある。次に木村蒹葭堂が天明4年(1784)3月に蘭山に内門(上級の弟子)を許された際に提出した誓約書で、京都時代の学塾衆芳軒の規則について記す「誓盟状」一幅がある。
書跡類は蘭山の一行書、典籍類は蘭山の書込がある漢籍を主とし、附の小野蘭山像は蘭山の門人谷文晁の筆とされる。
以上のように本資料は、蘭山の生涯と学問を研究する上での基本資料と評価でき、学術的価値が高い。