盛岡風景
もりおかふうけい
概要
竣介は、東京で生まれその生涯のほとんどを東京で送ったが、父親の仕事の関係から、少年時代を盛岡で過ごしている。そんな第二の故郷盛岡で、中学の同級生で親友の舟越保武と後に二人展を開いた時、約10年ぶりに訪れた故郷の風景を何枚かのスケッチに残した。それがこの《盛岡風景》を生んだのである。手前に市営野球場のスコアボードが、奥に背の高い測候所の建物がある。中学時代の竣介はこの測候所の丘の辺りに住んでいて、ここから見渡せる景色をよく描いていた。そんな当時のことを思い出しながら描いたのだろう。その明るい色彩と透明感から、初夏の自然の清々しさが、ゆるやかな線のタッチから、再び竣介を包み込んだ故郷の優しさが伝わる作品である。