兼任式部頭辞令
けんにんしきぶのかみじれい
概要
特命全権公使の任を終え、イタリアから明治15年(1882)5月帰国した鍋島直大は同月30日に明治天皇に謁見し、翌日の親任式で元老院議官に任じられた上で式部頭(しきぶのかみ)を拝命した。そのため式部頭への任命書にあたる本資料では役職は「元老院議官」の直大宛てとなっている。天皇御璽をもって太政大臣三條實美が奉じる形で直大に手渡された。
式部頭は宮内省の内部部局である式部寮の長にあたる役職で、宮中での祭典や儀式、雅楽などを掌った。こののち官制改革に伴い肩書も変更され、同17年には式部長官、同22年には式部長に続けて任命され、同28年7月に病のため依願辞任するまで13年間にわたり勤め続けた。
なお本辞令と同日付で出された任元老院議官辞令(特命全権公使鍋島直大宛て)も現存している。