揖斐川の簗掛け技術
いびがわのやなかけぎじゅつ
概要
本件は,岐阜県西部を流れる揖斐川にみられる,鮎などの川魚を捕らえる簗を設営する技術である。
簗は,川の一部を堰き止めて導入した水を竹の簾に落とし,簾の上に打ち上げられた魚を捕らえる定置式の漁撈施設で,揖斐川では産卵のため川を下る落ち鮎を主な対象とする。
この地域では,簗を設営することを「簗を掛ける」といい,江戸期には既にみられ,現在も毎年7月頃に掛けられている。
簗は,川の水を引き込んでくるタテ,引き込んだ水をミズタタキに導くソデ,簾を敷いて魚を捕らえるミズタタキの三つの堰から構成され,いずれも大きな丸太と真竹を縦割りしたひごを三角すい状に組んだイノコと呼ばれる巨大な籠を川底に並べ,これに川石や柳の枝を詰めて水を堰き止める形を基本とする。
設営工程は,必要数のイノコを製作した後,ミズタタキ,ソデ,タテの順に堰を製作し,最後にミズタタキに簾を張る。
簗は,8月から10月半ばまで稼働し,漁期が終わるとすべて解体される。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
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