木造鬼面
もくぞうきめん
概要
木造鬼面
もくぞうきめん
愛媛県
江戸初期
木造彩色、一部虫損、両眼銅板、表面は下地黒色、顔面朱色、眉黒色。額・鼻・頬・口元・顎などに筋を彫る。口は横に広げ歯をみせる。下歯両端に上向きの孔あり、牙を挿したと思われる。頬の同心円状に弧を描く筋や歯の一部にわずかに金彩色の痕跡がうかがえる。耳なし、紐孔左右にあり。裏面は丁寧に彫り込み黒色に塗る。銘文等はみられない。
『宇和旧記』(延宝9年1681成立ヵ)に本面の記録があることから、製作年代は遅くとも江戸時代初期以前であったと考えられる。
高24.0×幅18.6×奥12.0(㎝)
1面
愛媛県西宇和郡伊方町三机乙804
伊方町指定
指定年月日:20150225
有形文化財(美術工芸品)
三机八幡神社は天平5年(733)創建、大分県宇佐市の宇佐神宮の分社と伝えられ、歴代宇和島藩主から崇敬が篤かった。この境内にあった「合祀社」という八幡神社の旧社殿と伝えられていた1間×2間の小社が、平成23年(2011) 5月21日、老朽化で倒壊の危険が出てきたため、やむなく解体したところ、天井裏からほこりに覆われた状態で本面が発見された。
『宇和旧記』(延宝9年1681成立ヵ)の三机浦八幡宮の項に「此宮に鬼面ひとつ有、是は先年西国通の船に猿楽乗、此湊に逗留する事数日也、或夜の夢に、此面を八幡宮へ上げよ、さあらんにおいては、日和は有べしと、霊夢を蒙むる故、其儘宝殿に奉納之處に、出船する事早速也と伝へり」とあって、西国(=九州)へ渡航途中の猿楽師が奉納した鬼面であることが知れる。