宮古市浄土が濱
みやこしじょうどがはま
概要
戦後、核兵器や公害など、見えにくい脅威を告発する作品を描き続けた名井だが、晩年は、さらに考えを進めている。作品からは、いがみあわない、争わない、いわば「許す」という気持ちが感じられるのだ。絶筆と思われる作品「宮古市浄土が濱」では、大雑把なタッチで来迎してくる神々や仏たちが描かれているが、どうやら一つの宗教ではないようだ。「昇天する人々に宗教の対立なんて必要ない」。そういう名井の声が聞こえてきそうな作品だ。
生涯、人間が心の内に持つ残虐性を告発し続けた名井が、最後の作品で人々の協調を描いたことには重要な意味が有るように思われる。