鐃
どう
概要
商代後期には、鐃(どう・にょう)という下方に柄がついたかねを大小三個、一組で用いたらしく、おおよそドミソの音階をなしていた。戦争時の道具として使われたらしい。その鐃は、長江流域へと伝えられ、独自の発達を遂げて巨大化した。音階をなす大小のセットで出土する例もある。本例は最も巨大化した鐃のひとつであり、主に湖南省で出土する型式に近い。この南方の鐃がもとになり、西周期に中原へと逆輸入され、上下が逆さになって大小並べる編鐘(へんしょう)へと変化したといわれている。
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.62, no.270.